日本のお正月
●お正月に関する行事は、先祖霊の集合体である歳神様(としがみさま)を天からお迎えして歓待し、送り返すという、日本古来の、且つ今後も守り伝えるべき神事である。
 歳神様は五穀豊穣と、その家の安全・繁栄を約束してくれる。
 したがって、お飾り等、全てのものを大切に、且つ清浄な心で接し扱うこと。逆に言えば、そうであるなら禁止事項は多くない(
Note 1)。
 「松の内」は門松を飾っている期間という意味だが、歳神様に「待っ」てもらっている期間という意味もある。
 門松は天から歳神様が降りてくるときの依代(よりしろ)であり、目印なので正月飾りのうちで最重要アイテムである。
 複数の門松があると、降りてきた歳神様がどこから入ればいいのか迷うので門松は一対だけにする。その他のお飾りはいくつあっても、どこに飾っても構わない。
 大安、仏滅等の六曜は、神道の成立以降に中国から伝来した考え方なので考慮する必要がない。
●破魔矢について
 飾る場所や方向に制限はないが、気になる人は鬼門、すなわち北東の方向へ鏃(やじり)を向ければベスト。
 資源枯渇や環境汚染問題に配慮するなら高価で立派な破魔矢は毎年更新しない方がいいかもしれない。
●鏡開きについて
 最近の市販品は、ただ開けるだけ。
 昔ながらの鏡餅の場合、包丁などの刃物を使うのは切腹につながるので忌避すべき。木槌で割るのがベストだが、レンジでチンすれば手でちぎれる。
●正月飾りの処分方法
1) 本来は「降りて来ていた歳神様を天に送り返す」ために燃やす。そうすると、歳神様は煙と共に天に戻る。
2) 神社で焚き上げていただく。
3) 塩で清め、細かく切ってから丁寧に新聞紙に包んで燃えるゴミに出す。プラなどの素材は分別して出す。

お正月のスケジュール
12月13日 松の内開始 この日以降、できるだけ12月28日までに飾る(Note 2)。
1月 1日 元日
1月 7日 松の内終了(於 関東地方) この日の朝、七草粥をいただき、この日のうちに門松(Note 3)、注連縄、注連飾り等を外す。
1月11日 鏡開き(於 関東地方)(Note 4)
Note 1: 禁止事項は、鏡餅を開くときの刃物使用の忌避と、一夜飾りの忌避程度。
 忌避も、地方によって、また各家によって内容が異なる。旧家の場合、例えば「一夜飾りでなければならない」という家がある。
 このように融通がきくのは神道の源泉であるアニミズムの考え方のお陰であって、一神教の場合はそうはいかない。
Note 2: 飾り付ける日について
12月13日以降、12月28日までがベスト。
× 12月29日は29が「二重苦」を連想させるのでダメ。ただし29を「福(ふく)」と捉えるならOK。考え方次第ということだが、その場合はご近所さんへ説明しておいた方がベターかも? 「常識を知らない」と思う人が必ずいる。
12月30日は、旧暦では30日を晦日(みそか)といい、毎月の最終日のことである。よって31日と同じなのでダメ・・・とは言え、12月28日を過ぎてしまったら12月30日でも仕方がない。
× 12月31日は一夜飾り(葬式の飾りが一夜限りということを連想)なのでダメ。

Note 3: 本格的な門松を門の左右に飾る場合は、2番目に長い竹が左右の外側になるように設置する。左右の門松は同一ではないので購入時に要注意。同じものを二つ買ってはダメ。
Note 4: 鏡開きの日は厳密には毎年違うが、1月11日で構わない。気になる場合は神社で調べると分かる。
日本の旗日である「国民の祝日」と、国旗の扱いについてはこちら

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