金環日食 2012
2012年5月21日月曜日朝の金環日食を報告いたします。
平日ですので、東京都世田谷区玉川田園調布に位置する会社の屋上で撮影しました。Googleマップ 玉川田園調布
事後に知ったことですが、この場所は金環日食の中心食線から僅か1.8kmしか離れていません。雲に邪魔されたためISO感度が上がってノイジーな写真になってしまったものの、ほぼ完璧な均等度の金環を撮影することができたのは幸運でした。
もうすぐ金環日食 7時31分17秒
もうすぐ金環日食
月が右上から左下に向かって移動しています。金環はこれからですが食が始まったのは、ずっと前です。7時に屋上へ上がったときは、既に1/3くらい欠けていました。(この場所での食の開始は6時18分55秒とのこと。)
金環日食開始 7時32分07秒
金環日食開始
この場所での金環開始は7時31分48秒とのことですから、雲が邪魔している間に金環が始まっていました。
金環日食 その1 7時32分46秒
金環日食 その1
残念! 雲がいます。
金環日食 その2 最大食 7時34分23秒
金環日食 その2 最大食
この場所での食の最大時刻7時34分20秒(計算値)から3秒後の写真です。金環の全周が均等に見えます。
この写真のノートリミング画像はこちら
金環日食 その3 7時35分03秒
金環日食 その3
次から次に雲がやって来ます。金環の均等度が少し落ちて来ました。
金環日食 その4 7時35分43秒
金環日食 その4
やっと厚い雲が去って、薄い雲だけになりました。
金環の均等度はかなり落ちましたが、全写真のうちでこれが一番鮮明です。
この写真のノートリミング画像はこちら
金環日食終了 7時36分53秒
金環日食終了
この場所での金環終了は7時36分52秒とのことですから、ほとんど「今」です。
肝心の部分に雲がいるのが残念。
金環日食終了後 7時40分13秒
金環日食終了後
金環日食は終わりましたが、食はまだまだ続きます。
この場所での食の終わりは9時02分24秒とのこと。まだまだ時間はありますが、手持ち撮影で疲れましたので屋上から撤収します。
総括と反省:
1) 天体撮影には三脚とリモートスイッチは必須であることを痛感しました。
家の玄関を出るまでは両方とも通勤カバンに入れていたのですが、雨がやんだ直後で完璧な曇りです。「今日はダメかもしれない」と思った途端にカバンから出して家に置いてきてしまいました。

2) 減光フィルターはND100000(1/10万に減光)のみでなく、ND10000とか、ND400とND16も用意すべきでした。
事前に行なった、晴天時に太陽を撮る実験ではND100000のみで問題ありませんでした。しかし、今回のように曇っているとISO感度を上げるかシャッタースピードを遅くしないと撮れません。ND400とND16を重ねてND6400相当を得ることも考えるべきでした。そんな減光フィルターがあること自体、知りませんでしたから後の祭りです。
撮影中にISO感度が自動的に25600まで上がっていることには気付きましたが、「ノイズがなくなる6400に固定しようか?」、「そうするとシャッター速度が遅くなるので手持ちでは厳しい」・・・なので、そのまま撮り続けました。

3) 撮影用の減光フィルターは可視光外の赤外域や紫外線が透過することがあるので、『ファインダーを覗くのは厳禁』とされています。
今回は手持ち撮影でしたので液晶画面でフォーカスを合わせることなどできませんでした。結果、幸いなことに目は無事です。
しかし、今後の人生が長い人は、ファインダーを覗くのはやめましょう。網膜が、修復不可能なダメージを受ける危険があるそうです。

4) ピントは、マニュアルで無限遠に設定するのだそうですが、スポット1点オートフォーカスで太陽か月の縁を狙うと問題なく合焦します。

5) 絞り値とシャッタースピードはマニュアルで設定すべきだと言われますが、「中央部重点平均測光」で問題ありませんでした。

6) カメラにとって、太陽は意外に小さいです。
私は最大200mmのズームレンズに2倍のエクステンダーを付加して400mmで挑戦しましたが、今回の経験から、少なくとも800mmくらいの望遠レンズが欲しいところです。
各拡大写真の撮影データに於いて、400mmでなく、330mmとか342mmとかの焦点距離になっている写真があるのは私の不注意です。完全に手持ちでは体力的に耐えきれず、そこに立っていた棒を頼りにしたときにズームリングが動いてしまったようです。

7) 日食の始まりから終わりまでは数時間のドラマですが、食の始まりと終わり、金環食の始まりと終わり、そして最大食の前後は秒単位の勝負だということを後になって実感しています。これらのポイントでは、できれば毎秒1枚、少なくとも数秒に1枚ずつ撮影すべきでした。

8) 金環日食を含む天文のイベントは、事前に極めて正確な時刻が計算されて公表されていることを後になって知りました。公的、私的のそれらのサイトを運営されていらっしゃる方々に感謝いたします。
それらの情報を活用していれば、注目すべき金環食の始まり前後・最大食の前後・金環食の終わり前後に集中して効率良くシャッターを切ることができたはずです。まぁ、今回は下手な鉄砲を数多く撃ったので注目すべきポイントの時刻に近い写真がありましたが、疲れました。
中心食線の正確な位置もまた情報が提供されていたことを後で知りました。何と、会社のすぐ側を通っているではないですか!
今回は平日だから会社に行ったのであり、もし休日だったら中心食線から遠い位置にある自宅で撮影していたはずです。その場合は上の最大食の写真のように理想的な均等度の金環は撮れなかったでしょう。

金環開始、最大食、金環終了のときに雲がかかったのは本当に残念です。しかし、日食写真を初めて撮る人間が、まがりなりにも理想的な均等度の金環を撮れたのは、運が良かったと言うしかありません。
また、ネット上には正確な情報が発信されており、事前に情報収集が可能であること、そしてそれらを活用すべきであることを認識させられました。

なお、6月6日の金星日面通過の撮影は、400mmのレンズでは厳しいことと、出勤時に曇っていたため早々に諦めてカメラを持って行きませんでした。結果的に、最後のあたりは太陽が顔を覗かせたので残念です。

2018年の皆既月食(スーパー・ブルー・ブラッドムーン)はこちら。2022年の皆既月食(&天王星食)はこちら

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